第3回●加古川総合文化センター
はじめに
加古川総合文化センターは東加古川駅の北、徒歩10分のところにあります。
最初何も考えずに加古川駅で降りて、そこで地図を見てびっくり。
1つ隣の駅でした。
初めての場所へ行くときは、ちゃんと地図で下調べをしてから行くようにしましょう。(笑)
文化センター内には博物館やレクチャールームなどがあり、また周辺には図書館や公園があって、加古川市の文化の中心となっています。
この炎天下、10分歩くのはつらいものがあります。
場所は加古川バイパスの加古川東ランプからすぐのところですので、車を利用されるのがよろしいかと思います。
もともとここは美術館ではありませんが、今回の展覧会のため、スペースをパーティションで区切って展示室としてありました。
第1展示室
今回の展覧会のコンセプトは、同世代の女性絵本作家3人―佐野洋子さん、上野紀子さん、西巻茅子さんの代表作、話題作の展示です。
まずはこの人、続いてこの人、というようにひとりの作品をまとめて展示するのではなく、3人の作品が入り乱れて展示してあります。
最初の部屋は、上野紀子さんの最初の絵本、「ぞうのボタン」から始まります。
この絵本は「文字なし絵本」で、絵が実に雄弁に物語を語ります。
続いては同じく上野紀子さんの「ねずみくんのチョッキ」。
この展覧会では文章がかなり上に掲示してあります。
これは、絵の鑑賞を妨げないようにわざと遠い位置に置いてあるとのことで、主催者側の細かい配慮がうかがえます。
また、「お子さんに読んであげてください」との記述もあって、このあたりが美術館とはちょっと違う、アットホームは雰囲気を出しています。
次も上野さんの「ちいちゃんのかげおくり」。
夏休みは親子で戦争について話し合ういい機会かもしれません。
続いては、雰囲気ががらりと変わって、西巻茅子さんの「はけたよはけたよ」。
そして、展示室中央にも西巻さんの作品が2点。
「わたしのワンピース」と「ちいさなきいろいかさ」。
西巻さんの絵は、ぱっと見は稚拙な感じがするのですが、それが子どもとの距離を縮めるのに一役買っているのでしょう。
誰でも描けそうに思わせておきながら、絵の構成や配色に至るまで、実に細かく心が行き届いています。
同じような画風の画家として思い浮かぶのが、加藤チャコさん。
クレヨン画で、実にダイナミックな絵を描かれます。
第2展示室
隣接する第2展示室では、壁面とパーティションを使って数多くの作品を展示してあります。
こちらの会場では、作品の鑑賞にちょっと工夫をしてみました。
まず文字を全く見ずに、絵だけ鑑賞する。
そして、最初に戻って、今度は文章を見ながら鑑賞する。
絵だけでどこまで表現が可能か、ちょっと試してみたかったのです。
第2会場でも、上野紀子さんの2作品「こころのえほん」「それゆけ!ねずみくんのチョッキ」から始まります。
「こころのえほん」は、さすがに絵だけでストーリーを追うのは困難でしたが、「それゆけ!ねずみくんのチョッキ」は絵だけで十分ストーリーを追うことができます。
続いて佐野洋子さんの作品が2点。「おじさんのかさ」と「おれはねこだぜ」。
2作品とも、絵だけで十分内容が分かります。
特に「おれはねこだぜ」は最高ですね。
作品は壁面から中央のパーティションへ続きます。
まず西巻茅子さんの「かなえちゃんへ」、そして佐野洋子さんの「100万回生きたねこ」。
「100万回生きたねこ」の最後の原画に見たことのない絵が1枚あって、おや?と思ったのですが、帰って本を見て納得。
背表紙に描かれている絵でした。
次は同じく佐野洋子さんの「空とぶライオン」、そして最後は西巻茅子さんの「グーズベリーさんのみどりのにわで」で締めくくりです。
「空とぶライオン」は、なんか身につまされるような内容でした。
さて、第2展示室での試みは、おおむね成功でした。
殆どわからなかったのは「こころのえほん」と「かなえちゃんへ」の2作品。
いずれもストーリーものではなく、切々と語るような内容の絵本なので、当然ではあります。
わかりにくかったのは「空とぶライオン」。
絵を見た段階では、ライオンとネコがつるんで悪だくみをしているのかと思ってしまいました。
おわりに
今回は美術館ではなく、文化センターでの原画展のご紹介でしたが、美術館とはだいぶ雰囲気が違います。
上にも書きましたが、一言で言うと“アットホーム”ということです。
圧倒的に親子で訪れる人が多く、会場を子どもたちが走り回っていました。
“美術館”というとちょっと構えてしまう人も多いでしょうから、肩の力を抜いてゆっくりと楽しめる、このような形の展覧会がもっと増えて、気軽に市民が美術にふれあえる機会ができればいいな、と思いました。
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